「楽しみながら、守る」資産運用
「資産の棚おろし」から始めよう
まず、資産の棚おろしから始めましょう。
資産は、預貯金、投資信託や株、保険、不動産が中心と思います。
各資産について、現時点での価値を計算してください。
保険は、現時点での価値は解約した場合の返戻金ですが、病気になった場合や死亡時に保険金が出るのであれば、保険金の内容も整理しましょう。
不動産については、近隣の取引事例から売却価格の概算を出す方法もあります。
預貯金以外は、価格が変動するので、細かいところは気にせず、概算で大丈夫です。
棚卸ができたら、次は3分法です。
「遺す分」➡「使う分」➡「備える分」の順で3つに分ける
セカンドライフに対するシニア世代の希望は、大きく3つに分けられます。
それぞれの希望実現のために、棚おろしをした資産総額を分けるのが、次のステップです。
①ゆとりある豊かな生活を楽しみたい ⇒「使う分」
②万が一に備えた資金を持っていたい ⇒「備える分」
③子供にもある程度の財産を遺したい ⇒「遺す分」
順番ですが、「③ 遺す分」➡「① 使う分」➡ 「② 備える分」の順で考えて下さい。
「②備える分」は、必要な金額を正確に見積もるのは困難なので、最後に残った分を充てることにするのが現実的。「それでは不安」と思うかもしれませんが、本当に困ったときは、「③遺す分」も使えます。
「①使う分」は、2つに分かれます。
食費や水道光熱費、住居費などの基本生活費分と旅行や趣味などの余暇娯楽費です。ゆとりある豊かな生活の実現には、余暇娯楽費に使える分をできるだけ多くしたい。そのためには、年金等の収入と基本生活費の収支バランスを確認しておく必要があります。
収支が黒字であれば、余暇娯楽費に余裕ができます。トントンでも、基本生活費は年金で賄えるのでまずは安心。赤字の時は、収支トントンに向けた生活費の見直しも考える必要があるかもしれませんん。
(収支バランスの確認については「ライフ・プランニング」をご覧ください)
資産運用の基本は「守り」
シニア世代の資産運用で最も大事なことは、次の2つです。
①値動きの大きい商品での運用はしない
②換金性の高い商品で運用する
値動きの大きい商品は、一般的にリスクが高く、大きく儲けるチャンスもありますが、価格が下落した時のマイナスも大きくなります。いつか価格が戻るかもしれませんが、長い時間がかかることもあります。
また、病気やケガ、介護などで、突然の出費が必要となることもあるので、すぐに換金できるようにしておく必要があります。例えば、不動産は売却に時間がかかるので避けるべきでしょう。株式でも日々の売買高の少ない銘柄は避けた方がよいです。
国内(円建て)/海外(外貨建て)の預貯金/債券/株式への分散投資はオーソドックスな運用方法です。投資信託を活用することで、海外の先進国/新興国の債券/株式にも手軽に投資することができるので、リスクを押さえながら比較的安定した運用が可能です。
ただし、リーマンショックのようなことが起きると、国内/海外、債券/株式をとわず、世界中の金融資産から資金が逃げて一斉に値下がりします。分散投資をしていても、このような場合には、防ぎようがありません。
そこで、ご紹介したいのが、「低PBR+高配当利回り」株式への投資です。
「高配当利回り+低PBR」株式で「守る」
「配当利回り」は、年間で得られる配当金を株価で割った比率です。
トヨタ自動車を例にとります。会社四季報によると、今期(2019/3期)の年間配当金は1株当たり220~230円の予想。現在(3/11)の株価は6,618円なので、配当利回り(税引前)は3.3~3.5%となります。
つまり、トヨタが220円以上の配当金を今後も続けてくれれば、定期預金よりもはるかに高い3.3%以上の利回りを貰い続けるとができます。
株式ですから、価格は日々変動します。
買った値段よりも大きく下がってしまうこともあります。いくら配当利回りが良くても、価格が大きく下げた時に売る必要がでてきたら、トータルでは大損かもしれません。
そこで、大きく価格が下がる可能性が出来るだけ少ない株式を選ぶ必要があります。
「PBR=株価純資産倍率」は、株価が一株当たり純資産額の何倍か、を表す指標です。
1.5倍とか3.2倍とかの、倍数で表します。純資産は企業の解散価値(事業を全てストップし、資産を売却して借金を返した後に残る分)です。株式の購入=企業オーナーになることですから、PBR=1.0倍の株式を購入するということは、例えれば、入居者がいて賃貸収入がある賃貸アパートを、土地+建物の価格だけで購入する、というイメージです。実際には賃貸収入が入ってくるので割安感があると思います。
PBRが1倍未満(例えば0.7倍)で取引されている株式は、賃貸アパートを土地+建物の価格よりも更に割安で購入する、というイメージです。とてもお得な感じですね。実際にお得なのですが、賃貸アパートの場合は、土地+建物を特別割安価格で買ってから、直ちに入居者を追い出して土地+建物だけで転売して儲ける、ことが可能ですが、企業の場合は従業員もいますしそう簡単にはいきません。
ただし、PBRが1倍未満であれば、企業の最低限の価値よりも株価が割安ということは言えます。
「そんな割安な株が本当にあるの?」と思うかもしれませんが、結構あります。
実は、トヨタ自動車も本日現在でPBR=0.99倍。
他にも有名な会社をいくつかあげます。(3/11現在。数字はPBR/配当利回り)
ホンダ 0.81倍/3.68%
三菱商事 0.73倍/4.00%
NTT 0.85倍/3.80%
日本郵政 0.39倍/3.77%
JXTG 0.76倍/3.86%
いずれも日本を代表する企業です。
これら以外にもPBR1倍未満の企業はまだまだあります。
PBRが低い企業は、相場全体が大きく下げている時でも、下げ幅がある程度限られるという安心感があります。逆に、相場全体が大きく上昇している時には、思ったように株価が上がらない、といったもどかしさもあります。
高い配当利回りを期待して、こういった会社の株式で資産運用する、というのも選択肢と思います。
注意)PBRが低いからと言って、どんな会社でも良いということではありません。事業内容や経営方針、財務内容をみて、長期的に安定している会社であることを確認してください。
株主優待と株主総会で「楽しむ」
株主になると、「株主優待」と「株主総会」という楽しみもあります。
「株主優待」は、配当と別に期末にもらえる「プレゼント」です。
自社製品詰め合わせ、運営レストランの飲食優待券、地元特産品、お米、カタログギフト、QUOカード、など、1,000円~3,000円程度相当のものが多いですが、各社で工夫を凝らしたプレゼントを用意してくれます。(優待が一切ない企業も勿論あります)
いくつか例をあげます。いずれも、低PBR+高配当利回りの企業。
クラレ(0.97倍/2.92%) 3,000円相当のカタログギフト(1,000株以上の株主)
積水ハウス(0.94倍/4.66%) 新潟魚沼産コシヒカリ5kg(1,000株以上の株主)
ホンダ(0.81倍/3.68%) 自社遊園地利用券他(100株以上の株主)
オリックス(0.89倍/4.84%)プロ野球・レンタカー・宿泊施設の割引他(100株以上の株主)
「株主総会」への出席も楽しみの一つではないでしょうか。
会場は、本社であったり、研修所だったり、ホテルだったりと様々です。普段は入れない場所に行くのも楽しいですし、製品のショールームを出していたり、総会終了後に社長が事業説明を行ってくれたりということもあります。
総会では質疑応答が必ずありますので、経営陣に直接質問をしてみるのも普通はない経験になって楽しむことが出来ると思います。
低PBR+高配当利回りの株式を買って、日々の値動きには一喜一憂せず、期末の配当や株主優待、そして必ず届く株主総会の招待状を楽しみにする。
オーソドックスな分散投資はもちろんのこと、
「楽しみながら、守る」資産運用もアドバイス致します。
料金
相談料 : 8,000円/1回(60分) 延長の場合 +4,000円/30分ごと
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