FPいわかみ
お役立ちコラム
退職金 その2:
受取方法は一時金と年金、どっちが有利?
退職金の受け取り方法は、「一時金」、「年金」、「一時金・年金併用」の3つの方法があります。(企業によっては無い方法もあります)
どの方法が最も有利でしょうか?
結論を先にいうと、「一時金」が最も有利です。有利というのは、手取り額が一番大きい、ということです。
「一時金」と「年金」を比較してみます。
一時金方式のメリットは、「退職所得控除」です。
退職所得控除はとても大きな優遇で、例えば勤続38年の場合は、退職金が2,060万円までであれば税金はかかりません。
年金方式では、企業が10年とか15年の年金期間を決めて、その間は確定利率で運用をしてくれるのが一般的です。メリットは、確定利率での「運用益」です。
従って、受け取る額面金額では、年金方式 > 一時金方式 となります。
一方で、年金方式では毎年の受取分が雑所得となります。
デメリットは、①国民年金などの収入と合算した上で、公的年金等控除が使えますが、退職所得控除にくらべると控除額が小さくなり税金が増えます。②健康保険料や介護保険料の計算の対象となるので、社会保険料が高くなります。
したがって、一時金方式にくらべて年金方式が有利か不利かの判断は、運用益のが税金と社会保険料の増加をカバーできるかどうか、になります。
以前は年金方式を選ぶと、5%以上といった高い利率での運用を約束してくれた企業もありました。この場合、運用益がデメリットを上回り、年金方式が有利となったかもしれません。残念ながら、低金利の現在では大手企業でも運用の確定利率は1~2%程度となっているようです。
この利率であれば、運用益よりも税金と社会保険料の増加分が多くなり、手取り金額では一時金方式が有利、となります。
ただし、注意いただきたいのは、企業によって退職金制度が違うため、年金方式が有利になるケースも可能性はゼロではない、ということです。例えば、受取期間が終身や長い期間が可能であったり、運用の確定利率が高い場合は、年金方式が有利となることもあります。
会社から選ぶようにいわれたが、どちらが有利か分からない時は、是非お気軽にご相談ください。生涯通すと、手取り金額に大きな差が出るかもしれません。