FPいわかみ
お役立ちコラム
どのような状態になったら要介護認定される?
先日、セミナーで介護保険についての話をした時、次の質問を受けました。
「どのような状態になると要介護認定を受けられますか?」
「親がどのような状態になったら、要介護認定の申請を行うべきでしょうか?」
今回は、要介護認定の各段階についての目安となる状態、特に軽度の認定となる要支援1・2、要介護1の目安について説明します。
初めて要介護認定申請を行う際の、参考になればと思います。
▮要介護認定は「介護のかかる手間(時間)」で区分
要介護認定は、1次判定(認定調査に基づくコンピューター判定)と2次判定(認定審査会の判定)で決定されます。
認定区分のベースとなるのは1次判定です。これは市区町村の認定調査員が、対象となる方を実際に訪問して、本人に質問をしたり、生活状態を確認して、コンピュータに入力して判定します。客観的で公平な判断となるように、質問項目は全国一律で統一されています。
調査結果をコンピューターに入力すると、介護にかかる合計時間(分)が算出されます。これを「要介護認定等基準時間」とよんでいます。介護にかかる手間を「時間というものさし」で表したものです。この時間が長くなると、介護度が高くなる、より重度の区分に認定されることになります。
たとえば、「要介護認定等基準時間:50分以上~70分未満」の場合は、「要介護2」に区分されます。ただし、ここでの「50分以上~70分未満」は、実際の介護に要する時間、とは別の概念で、あくまでも1次判定用のものさしです。
これだと、実際にどのような状態だと「要介護2」に区分されるのかイメージできないですね。
▮自力での「起き上がり」・「立ち上がり」が無理=要支援1の対象
図は厚生労働省の資料からの抜粋で、要支援・要介護の各区分ごとの状態像を示しています。
図では、要支援1の状態として「起き上がり」・「立ち上がり」があります。
起き上がり:寝た状態から上半身を起こすことができるか?
立ち上がり:椅子からの立ち上がりができるか?
自分だけでは、起き上がり/立ち上がりが難しく、誰かのサポートが必要な場合は要支援1と認定される可能性が高いです。
要支援1の目安は、「日常生活を送る上で不便はあるが、食事や排泄を含め、ほぼ自立して生活できる状態」といえます。
▮より支援の手間(時間)がかかると要支援2の対象
要支援2も、要支援1と同様に日常生活での支援が必要な状態ですが、より多くの支援の手間(時間)がかかる場合が要支援2となります。
▮理解力や判断力の低下がみられると要介護1の対象
図で要支援2~要介護1の状態としてあげている、「日常の意思決定」ですが
日常の意思決定:日々の暮らしにおける活動に関して意思決定できるか?
家族に相談しながらも自分で最終的に意志決定できている間は要支援段階ですが、理解力や判断力に衰えがみられ、自分で意思決定できない場面が多く出てくるようになると、要介護1と認定される可能性が高くなります。認知症の症状が出てきている段階といえます。
認知症が見られだすと、買い物でも支援が必要となることが出てきます。これも、要介護1と認定される要素です。
▮身の回りの世話が必要になったり、歩行に不安が出てくると要介護2
要支援1・2の段階は、身の回りのことはほぼ自分でできる状態。要介護1では、理解力や判断力の低下がみられるため、買い物や意思決定の場面で支援が必要になる場合があるものの、身の回りのことは引き続きほぼ自分でできる状態です。
要介護2に進むと、みだしなみを整えたり、掃除や簡単な調理といった身の回りのことでも支援が必要になってくる状態になります。
起き上がりや立ち上がりに加えて、歩行時にも支援が必要となってくると、要介護2の可能性が高くなります。
認知症の症状が進み、お金の管理が苦手となったり薬の服用を忘れたり、といったことがでてくることも要介護2と認定される状態といえます。
以上、要支援と軽度の要介護区分について、状態像を説明しました。
認定調査は、多くの項目について確認した上でコンピューターに入力して判断します。項目ごとの状態は個人差は当然ありますので、ここで説明した各区分の状態像は目安として考えて下さい。
初期の認知症については判断が難しいですし、本人がそれを理由に要介護認定申請をすることに対して抵抗があることも多く見られます。
一方で、「起き上がり」や「立ち上がり」に手助けが必要になってきた、あるいは「歩行」時も助けが必要なことがでてきた、は目に見える変化ですので、家族にこういった状態が見られ始めたら、要介護認定の申請を考えてみることをお勧めします。