FPいわかみ
お役立ちコラム
有料老人ホームとサ高住のちがい ①
届出・認可・登録
高齢者住宅について相談を受ける際に、「有料老人ホームとサ高住(サービス付き高齢者住宅)の違いがわからない」との声をよく聞きます。
制度の違いを説明するインターネットのサイトは沢山ありますが、入居する立場から見た時の、それぞれのメリット・デメリットがわかる説明はありません。
施設のパンフレットを見ても、「物件概要」の中に、「類型:介護付き有料老人ホーム」や「類型:サービス付き高齢者向け住宅」と小さな文字で書かれているだけで、違いは分からないと思います。
シリーズで有料老人ホームとサ高住の違いを説明します。
特に、入居する立場から、注意すべき点を中心に説明します。
初回は、基本の中の基本、行政機関への届出・認可・登録です。
結論を先にいってしまうと、届出・認可・登録がされていない施設を選んではいけません。
▮有料老人ホームは「届出が義務」
有料老人ホームですが、2タイプあります。
①住宅型有料老人ホーム
②介護付き有料老人ホーム
健康型有料老人ホームというタイプもありますが、数は非常に少ないので、ここでは介護付き・住宅型の2タイプを対象とします。
全ての有料老人ホームは、設置にあたって都道府県知事への届出が義務づけられています。
ところが、届出がされていない有料老人ホームは少なからず存在することも事実です。有料老人ホームに対しては、厚生労働省が標準指導指針を定めていて、建物などへガイドラインがあります。昔から老人ホームを開設していたが、ガイドラインを満たせない場合に改修費用がかかる、といったことを懸念して届出をしない施設もあるようです。
標準指導指針は、あくまでガイドラインで法的拘束力はありませんので、満たせないことは法律違反ではないのですが、届出は義務ですので、届出をしないことは法律違反となります。
▮介護付き有料老人ホームは「認可」必要
②介護付きも届出は義務ですが、そもそも介護付きの場合は、人員・設備・運営についての基準が法律で定められていて、設置にあたっては都道府県(一部では市区町村)から認可を受けることが条件となっています。
したがって、「介護付き」の場合は、必ず認可をうけているので、届出がされないというケースはありません。
言い換えると、「介護付き有料老人ホーム」と称している施設は、必ず都道府県の認可を受け、届出を行っているといえます。
届出を行っていない有料老人ホームが存在すると書きましたが、全て住宅型有料老人ホームです。
住宅型有料老人ホームと称している施設を検討する場合は、必ず都道府県への届出がされているかを確認して下さい。確認方法は後ほど説明します。
▮住宅型有料老人ホームは「届出がされているか」必ず確認
届出を行っていない有料老人ホームが存在すると書きましたが、全て住宅型有料老人ホームです。
住宅型有料老人ホームと称している施設を検討する場合は、必ず都道府県への届出がされているかを確認して下さい。確認方法は後ほど説明します。
届出がされていれば一安心ですが、設備やサービスの水準を保証するものではありません。届出がされれば都道府県知事は受理を拒否することができないので、一定の水準に達していない施設も一部存在します。自分で確認が必要です。
▮サ高住は「任意登録」
サ高住については、「登録」制度があります。
登録にあたっては、国が規模・設備、サービス、契約についての基準を定めていて、基準に適合したサ高住のみが登録が可能です。
登録は義務ではなく任意です。
登録すると、自治体の管理監督を受けることになりますが、建築費の補助金や税制上の優遇を受けられるメリットもあります。基準を満たしていて、しっかりした運営を行っている事業者であれば、登録していると考えて間違いありません。
▮有料老人ホームは「都道府県のホームページ」で確認
有料老人ホームについては、各都道府県のホームページで届出をしている施設一覧を公表しているので、そこで確認します。
検討している施設の名前が、もし一覧に無かった場合は、都道府県の担当部署に確認してみて下さい。
▮サ高住は「高齢者住宅協会の検索システム」で確認
登録されたサ高住は全て、一般社団法人)高齢者住宅協会の「サービス付き高齢者向け住宅 情報提供システム」に反映されます。
検討しているサ高住が、この「情報提供システム」に無かった場合は注意したほうが良さそうです。新しい施設の場合は、情報提供システムに掲載が間に合っていないことも考えられます。都道府県の担当部署に確認することをお勧めします。