金融リテラシー 教育 講師 セカンドライフ 老人ホーム FP ファイナンシャルプランナー 新宿
金融リテラシー 教育 講師 セカンドライフ 老人ホーム FP ファイナンシャルプランナー 新宿

FPいわかみ

お役立ちコラム

年金「繰り上げ」・「繰り下げ」の整理

昨日1月26日の、日経新聞朝刊1面トップの記事は、『年金開始 75歳も選択肢』でした。現在の公的年金制度では、受給開始を60歳~70歳の間で月単位で選択できますが、繰り下げる場合をさらに5年延ばして60歳~75歳の間で選択できるように検討を開始する、という内容です。(但し、繰り下げの場合は、66歳以降となるので65歳以降66歳になるまでの間は選ぶことができない)

 

ご存知の方も多いかもしれませんが、年金の繰り上げと繰り下げについて整理しておきましょう。

▮受給開始は65歳から、が基準

老齢基礎年金と老齢厚生年金(厚生年金加入者の場合)の受給開始年齢は、65歳が基準となっています。

 

厚生労働省によると、平成30年度の夫婦2人世帯の標準的な年金受給額は、月額221千円、年間で266万円とされています。月額での内訳は、老齢基礎年金(以下「基礎年金」)が65千円(1人分)x2人=130千円、残りの91千円が老齢厚生年金(以下「厚生年金」)。

 

基礎年金:夫婦ともに国民年金に40年間加入し満額支給

厚生年金:夫が平均収入で40年間就業し、妻がその間すべてで専業主婦

受給開始:夫婦ともに65歳から受給開始

のケースを前提とした受給額です。

 

▮繰り上げは基礎・厚生を同時、繰り下げは別々も可

基礎年金と厚生年金は、60歳~64歳11カ月の間に受給を早めて開始する「繰り上げ」と、66歳~70歳までの間に受給開始を遅らせる「繰り下げ」が可能です。つまり、65歳を基準年齢として、60歳~70歳の間で受給開始年齢を選べます。

 

注意したいのは、繰り上げる場合は基礎年金と厚生年金をセットにすることが必要です。例えば、基礎年金を62歳から受給開始する場合は、厚生年金も62歳からの受給開始となります。

 

繰り下げる場合は、基礎年金と厚生年金を別々にすることが可能です。例えば、基礎年金は65歳の基準年齢ので開始するが、厚生年金は70歳開始とする、ということが可能です。

 

▮受給額の減額(繰り上げ)と増額(繰り下げ)

65歳に受給開始する場合の年金受給額を基準として、繰り上げの場合は、年金額が【0.5%x(繰り上げた月数)】分減額されます。

繰り下げの場合は、【0.7%x(繰り下げた月数)】分増額されます。減額・増額された年金額は、受給開始後は一生涯継続することになります。

具体的に計算してみましょう。

 

繰り上げの場合(減額):

3年繰り上げて62歳から受給開始を選んだとします。

0.5%x(3年x12か月)=18%ですので、基準年齢の65歳開始の場合の年金額に比べて、18%減額した金額となります。平成30年度の標準金額として、月額221千円とありましたが、18%減額された181千円の受給額となります。

 

繰り下げの場合(増額):

基礎年金は基準年齢の65歳から、厚生年金は5年繰下げ70歳から、とします。

65歳~70歳の間は、二人分の基礎年金130千円を毎月受給します。70歳以降は、厚生年金の受給が開始されますが、厚生年金は0.7%x(5円x12か月)=42%増額されるので、91千x142%=129千円となります。したがって、70歳以降の年金基礎と厚生年金の合計受給額は、毎月259千円となります。

 

基準年齢の65歳で受給した場合を100として、繰り上げ・繰り下げした場合の、受給開始年齢ごと(60歳~70歳まで半年刻み)の受給額の割合を一覧表にしましたので、参考にしてください。標準的な年金受給額の場合の、基礎年金・高青年期の受給月額もさんこうまでに記載しています。

 

【繰り上げ・繰り下げ受給額割合一覧表】をみる