FPいわかみ
お役立ちコラム
「外貨預金」その②
為替手数料に注意
先日、外貨定期預金についてコラムを書きました。(2019年1月19日「外貨預金とは名ばかり。実はFX投機では?」)
2-3日前に、口座を持っている最大手メガバンクから、スマホに「外貨定期預金キャンペーン」のお知らせが届き、内容を聞いてみました。
優遇金利が違うとかありますが、先日の銀行と商品の考え方は同じです。銀行にとっては、高い優遇金利で興味を引いて、為替手数料を稼ぐことが目的の商品でといえるでしょう。
今回は、為替手数料について注目してみたいと思います。
【米ドル外貨定期預金】
販売期間限定:対象期間 2019年1月XX日~2019年3月XX日
手数料優遇:特別金利+為替手数料優遇(円貨から預け入れの場合)
期間:1カ月
預入額:10万円以上(ネット)、100万円以上(窓口)
特別金利:7.0%(税引前)/ 5.577%(税引後)
為替手数料優遇(預入時):1米ドル当り0.5円(窓口)/0.25円(ネット)
為替手数料(満期時):1米ドル当り1円(窓口)/0.25円(ネット)
「ネット」は、インターネットバンキングで手続した場合。「窓口」は、支店の窓口で手続した場合。
こちらの銀行は先日の銀行に比べ、期間が1カ月と短くなった分、優遇金利を7%とより高い金利を出しています。一見すると、「期間が短くて、しかも金利が高い」と、先日の銀行よりさらに魅力的に見えるかもしれません。
先日のコラムを読んでいたら、もう分かると思います。1カ月と短期の間に、2回の為替手数料が稼げる、銀行にとってさらに魅力的な商品なんです。
金利収入と為替手数料をみてみましょう。(今回は計算式は省略します)
預入額は30,000ドル、1ドル=110円とします。
1カ月分(30日とします)の金利収入(税引後)は、137.52ドル=15,127円。
一方、為替手数料ですが、窓口の場合は45,000円、ネットの場合は15,000円。
窓口の場合は、差し引き約30,000円のマイナスからのスタートです。ネットの場合は、差し引き約0でプラス・マイナスゼロからのスタートです。
損益がプラスになるには、満期時にドル高・円安になっていることが必要です。この商品の本質は「金利という形でお土産をあげますから、1カ月のFX投機をしてください。但し、為替手数料はかかります」ということです。
金利を貰っても、為替手数料差し引きマイナスとかゼロで、実質的にFX投機をするならば、為替手数料の安い外貨普通預金の方がよくありませんか?定期預金だと期間中は原則解約できないので、満期日だけの為替レートに損益が左右されますが、普通預金であれば、為替レートが有利になればいつで円貨に戻すことができます。
外貨普通預金をするときの、為替手数料ですが、インターネット専業銀行中心ですがとても安くなっています。
住信SBI銀行:0.04円(円 →米ドル/米ドル→円)
ジャパンネット銀行:0.05円(円 →米ドル/米ドル→円)
ソニー銀行:0.15円(円 →米ドル/米ドル→円)
じぶん銀行:0.00円(円 → 米ドル)/ 0.25円(米ドル → 円)
これらは通常の為替手数料(2019年1月25日現在)で、キャンペーンや取引状況でさらに安くなることもあるようです。
最安値の住信SBI銀行の米ドル普通預金の金利は、税引前0.700%と出ていますので、税引後は0.558%。30,000ドル預金すると、1カ月の金利収入は13.76ドル=1,513円、2カ月では27.52ドル=3,027円となります。
為替手数料は合計で2,400円なので、2カ月の預金であれば、差し引き600円のプラスからのスタートになります。FX投機と考えれば、預入れ後にドル高円安になるタイミングがあれば、いつでも円貨に戻して利益を確定すれば良いです。
為替手数料が安い銀行があるからといって、FX取引を勧めるのではありません。
為替相場動向に明確な見通しをもっている人でない限り、FX取引はやらない方が良いです。
お伝えしたいのは、「外貨の運用商品を検討するときは、必ず為替手数料を確認してください」ということです。
米ドルの商品だと、0.5円とか1円の為替手数料となっていたら要注意です。金利とかを魅力的にみせて、実は為替手数料を稼ぎたい、というのが銀行の本音の商品である可能性が高いです。