FPいわかみ
お役立ちコラム
介護の実際を知る-③
介護にかかる費用
シリーズの3回目は「介護にかかる費用」です。
要介護となると、どのくらいの費用がかかるのでしょうか?
親世代にとっても、高齢者の親をもつ子供世代にとっても、知りたい内容です。
調査データと私自身の経験から説明します。
▮一時費用平均は69万円、月々の費用平均は7.8万円
公益財団法人生命保険文化センターの「生命保険に関する全国実態調査・平成30年度」によれば、介護経験のある世帯で介護にかかった費用の平均額は、一時的な費用が69万円、月々の費用が7万8千円です。
「一時的な費用」は、自宅改修(バリアフリー化など)や福祉用具の購入費用。介護施設に入る場合より、在宅介護の場合が多くかかります。
「月々の費用」には3種類の費用が含まれます。
①介護保険の自己負担分
②介護保険外サービス利用
③介護関連用品等の購入
①は介護保険が適用されるサービスを利用した場合です。要介護レベルに応じて毎月の利用限度額が決まっています。その範囲内であれば年収に応じて1割か2割を自己負担することになります。
②ですが、介護保険が適用されないサービスを利用した場合は、100%自己負担となります。例えば、訪問理容や配食サービスなど。
③は、おむつや口腔ケア用品などをドラッグストアで購入する費用です。これも100%自己負担です。
▮4年7カ月だと合計500万円
2019年2月2日付コラム『介護の実態を知る①「介護にかかる期間」』で平均期間が4年7カ月と書きました。
一時費用69万円(1回限り)と毎月7万8千円が4年7カ月続くと仮定すると、総額は500万円になります。
繰り返しになりますが、介護保険を利用した上で、の金額です。自己資金から実際に出ていく金額です。かなり大きな金額です。介護にお金がかかることが分かると思います。
▮私の父のケースでは
総額だけではイメージがつかないので、私の父のケースを紹介します。要介護4の認定を受け、在宅介護を行っていた時の、介護サービスの利用状況と費用です。
左半分は、在宅介護で利用する代表的なサービスと一般的な単価です。厚生労働省の「介護サービス情報公表システム」、「福祉用具の全国平均貸与価格及び貸与価格の上限一覧(平成30年10月)」、及び当事務所調査をもとに作成。
右半分は、私の父の実際の利用状況です。
父はサービス付き高齢者向け住宅(”サ高住”)に単身でいました。サ高住については、別の機会にコラムで説明しますが、介護については自分で介護サービス事業者と契約し、必要なサービスを購入する必要があります。介護サービス利用という点では、在宅介護とほぼ同様と考えて下さい。
私を含め家族が通いでなるべく頻繁に行くようにしていましたが、毎日は無理で、週に最低3回は介護士さんやヘルパーさんをお願いしていました。介護ベッドや車椅子はレンタルですが、借りっぱなしになります。
これらは全て介護保険が適用されるサービスですが、保険利用前の総額は27万8千円になります。要介護4だと利用限度は30万8千円。限度内に収まるので、全額が保険対象となり、父の場合は2割負担でしたので自己負担額は27万8千円x20%=5万6千円でした。これが上記の①に相当する分となります。
▮②③も合計すれば月々の費用は6~7万円でした
介護保険適用外のサービスとしては、訪問理容を月1回(4千円程度)で②に相当する費用。③の費用としては、ドラッグストアでのおむつやクリーナー購入の他、ベッドでも可能な食べ物・飲み物といったもので、月々5千円~1万円程度。
①②③を合計すると、月々の負担は6~7万円ぐらいでした。
生命保険文化センター調査の7万8千円からは少ない金額でしたが、サ高住ということで、施設のスタッフさんに安否確認は毎日してもらえたことが理由だったと思います。
施設に入っていなければ、介護士さんかヘルパーさんに来てもらう頻度を増やす必要があありました。
ここまで読んで、「介護ってこんなにお金がかかるのか・・・」と思われた方も多いと思います。
介護の原因、症状の進行スピード、介護の環境などによって、個人差はありますし、かかる費用が異なることも事実です。
ただ、介護保険を使っても少なくとも1割は自己負担になります。介護期間が長期化すれば毎月一定金額が出ていくことになり、累積すると大きな金額になる可能性があることを、分かっておく必要があります。