FPいわかみ
お役立ちコラム
介護の実際を知る-①
介護にかかる期間
40代後半あたりから、「親の介護」が心配になってくる方が多い思います。この世代の方は、働き盛りで会社で重責を担っていることも多く、家庭でも子供の教育などで忙しくされている人が多いと思います。
総務省の平成29年度の調査によると、過去1年間に介護・看護を理由に離職した人の数は全国で9.9万人。理由はさまざまと思いますが、親の介護が長期化したために、やむなく離職という選択となった方も少なくないと思います。
介護地獄といった言葉も聞きますが、介護経験がない現役世代の方にとって、これから起こるかもしれない親の介護は、どこかで気持ちの重しとなっているのではないでしょうか。
シリーズで「介護の実際」を調査データを踏まえて説明します。
初回は、「介護にかかる期間」です。
▮平均は4年7カ月
公益財団法人生命保険文化センターの「生命保険に関する全国実態調査/平成30年度」によると、介護に要する期間の平均は4年7カ月です。
この調査は3年後ごとに実施されていて、平成30年度は対象となった全国約4,000世帯の中で過去3年間に介護経験のあった世帯について、介護に要した期間を調査したものです。
▮平均余命-健康寿命
平均余命と健康寿命からも、介護期間を推定することができます。
2018年発表の厚生労働省・簡易生命表によると、2017年度の日本人の平均余命は
男性:81.09歳
女性:87.26歳
一方、健康寿命は3年ごと発表されていて、最新は2016年度のデータですが
男性:72.14歳
女性:74.79歳
(平均余命-健康寿命)=介護期間、と考えると介護期間は
男性: 8.95年
女性:12.47年
▮介護の長期化も念頭に
生命保険文化センターと、平均余命・健康寿命からの推定結果には差がありますが、介護にかかる期間が長期化する可能性があることは分かると思います。
自分自身も母親と父親の介護を経験しました。
二人とも介護の原因は癌だったので、親の家に通ってケアをする必要のあった期間はそれぞれ3か月程度でした。(癌の場合、亡くなる2~3か月前から急激にガクっときますが、それまで普段に近い自立生活が可能、といわれています。)
終わってみれば3か月でしたが、介護期間中は「先が見えないトンネル」が正直な気持ちでした。「親には頑張って欲しい。子供として、出来ることはやってあげたい」、一方で「これが半年、1年、2年・・・と続くと、仕事とか自分の生活はどうなってしまうのだろう・・」と途方に暮れる。
▮事前に考えておくことが大事
親の介護を準備しておくことは難しいです。要介護となるタイミングも予想できませんし、原因も分かりません。実際になった時の症状や進行スピードも個人差があります。
子供も、生活環境が変わっていきます。親が要介護となった場合に、現時点で子供として出来ること・出来ないこと、と将来に出来ること・出来ないこと、は違うはずです。
ただ、介護保険の申請など、どんなケースでも共通して必ず必要な事柄もあります。そういった事柄を事前に確認しておくことを含めて、「もし親が介護必要になったら」という頭の体操を折に触れてしておくことをお勧めします。